海域では,あらゆるところに生物が付着しています.海岸構造物や養殖施設・資材の表面,さらには養殖されているカキなどの生物の殻の表面にも多くの生物が付着します.付着する生物は様々で,海藻,貝類,フジツボ,ホヤ,カイメンなどがいます.
これらは,人間に対しても様々な問題を引き起こしています.例えば,発電所や工場では,発電設備の冷却のために大量の海水を取水しているケースがありますが,取水・冷却設備への生物付着は珍しくありません.そのため,施設を時折停止して清掃したり,防汚のための特殊な塗装を行うため,大きなコストが発生しています.また,養殖漁業においても,養殖施設や養殖生物への生物付着は,施設のダメージ,餌競合やストレスなどによる養殖生物の成長鈍化等大きな問題を引き起こします.
当研究室では,電力会社の協力も得て,発電所冷却水路に付着する付着生物の量や餌源の把握のための調査研究を実施しています.また,南三陸町志津川湾では,カキ養殖における付着生物の影響や,それを除去することでカキの生育がどの程度改善されるかなどについて研究を行っています.(TS)