我々が調査を行っている南三陸町志津川湾の流域の7割は山林です.その中でも,スギを中心とした林業目的で植林された人工林の割合が大変高くなっています.そして,他の地域と同様に手入れのなされていない放置林も少なくありません.
しかし同町の一部では,FSC国際認証を取得して持続的にそして活発に林業に取り組んでいる方々もいらっしゃいます.志津川湾では,カキ養殖のASC国際認証も取得されており,南三陸町は世界的にも珍しい山・海ダブルでの認証取得に成功した地域となっています.そのような事もあって,森―川-海のつながりを意識した話をされる地元の方も少なくありません.南三陸町は山と海の距離も近く,そのつながりを研究する場としても,とても魅力的なフィールドです.
陸域での林業の施業形態や土地利用は,河川や地下水を通じて海に供給される栄養塩等の量や組成に影響している可能性が考えられます.当研究室では,南三陸町をフィールドとして,流域の植生や土地利用が河川水質に及ぼす影響,海に流入する河川水質が湾内での植物プランクトンの生産・組成等に及ぼす影響などに着目した研究を行っています.(TS)